現在トルコで開催されている世界の民族スポーツの祭典で、日本からは流鏑馬が披露されたようです。ちなみに、「やぶさめ」と読みます。
馬を走らせながら弓を射るという、日本の時代劇などに親しんでいる人にとっては馴染みのある競技なのですが、これは実は特殊な技術だったりします。
弓騎兵の歴史
馬上から矢を射る兵士を、一般的に弓騎兵と呼びます。弓騎兵自体は、それほど珍しい兵士ではありません。
しかし、歴史上で用いられた弓騎兵というのは、ほとんどが静止射撃をします。馬で射撃ポイントまで移動して、そこで馬を止めて攻撃するのです。走りながら弓を引くのは難しいからです。
ところが、それを当たり前のようにやってのけた文化がいくつかあります。一つが古代ローマと戦ったパルティア王国。相手から逃げながら矢を射かけるというパルティアンショット戦法で、ローマ軍を破りました。
もう一つがチンギスハーンで有名な、モンゴルの遊牧民。歴史上最高の版図を築きました。
そして、日本。日本の侍は武芸十八般の中に流鏑馬が含まれており、必修技能でした。しかも侍は、進行方向の右にも左にも撃てるという、世界でも珍しい技術を求められたのです。
エスノ・スポーツ・カルチャー・フェスティバル
トルコで、2016年から行われるようになった祭典です。今年は5月9日から、13日まで行われます。様々な国から集まった13の競技を、586人の選手が披露してくれるようです。
この祭典の意義は、「世界各国の伝統国技、伝統文化を研究し、あるべき姿を後世に継承することを目的とする」と謳われています。
世界の多様性や、寛容が期待される現代としては、なんとも喜ばしいことです。
でも、トルコって最近独裁国家になってなかったっけ…?
しかし、ふと気になったことがあります。私の記憶では、近年のトルコは民主化が後退し、独裁的になっていたような気がしました。
調べてみると、やはり大統領の独裁的な振る舞いが目立つようになり、2016年には軍がクーデターを起こすに至っていました。
大統領は市民の生活にも口を出すようになっており、子供は3人以上持つべきだとか、中絶は許されないだとか、多様性や、寛容さとはほど遠い主張をしています。
単純に考えれば、現大統領はこういう祭典好きじゃなさそうだよね。まぁ、こんな細かいことまで口を出しても仕方ないし、邪魔にならなければほっとくという感じなんでしょうけども。
こういう祭典が、人々の多様性への希望を高め、トルコ社会がまた民主化への道を進んでくれるとありがたいんですが。