NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介された浮き沈みの激しい銀座でトップで居続けるママの本です、「銀座の流儀 「クラブ稲葉」ママの心得帖 白坂亜紀」。
白坂亜紀ママは今までにも本を出されたりしてますが、今回はご自身の銀座での半生を振り返りつつ、銀座という一種特殊な世界を通して仕事に、人生に役立つ光景を見せていただいています。
どの世界でも一流の方の言葉には重みがあります。銀座というと華やかな一種浮かれたイメージがあるかもしれませんが、そこで繰り広げられるドラマはまさしく地道そのもので、どの世界のビジネスにも通じるものがあります。
一流のホステスは一流の人間
夜の世界の接客業にも色々ありますが、やはり銀座のホステス、それも一流のホステスさんともなると違っているというのを教えてもらえました。
それは、決して、華美な見た目や色仕掛けの営業とかではなく、普段からの地道な努力が産むもののようです。
普段からお客様に対するメールや挨拶状といった営業努力を絶やさないことはもちろんのことですが、最後は自分の人間力が勝負になる、そしてそれを磨き続けることが必要となることが改めてママの押しつけがましくない口調をもって身に迫ってきます。
華やかな世界の裏側に繰り広げられるのは、その人間力をもとにして、常に相手のことをどこまでも思い続ける、そうどこまでも、そしてトップで居続けるにはどこまでもそういう努力を続かなければいけないという当たり前のことなのですが、何故か他のハウツーモノよりも心に染み入ってきます。
荒波を潜り抜けてきた亜紀ママ
一見華やかな銀座、しかしそこで生き残る店はごくわずかだと言います。ほとんどの店がそこにあったという記憶すら残せずに消えていくのが実情のようです。
当然、亜紀ママの店「稲葉」も同じことで、数々の試練をくぐり抜けてこられたようです。もちろん、そこを切り抜けてきたのは、「気合」と「努力」そして「人」だったようです。
困難にも打ち勝っていく、そしてそのためにあきらめずに挑戦しつづけること、また何よりも今までの財産としてお互いに苦しい中助けてくれる「人」があってのこと、そんな姿には勇気づけられるような気がします。
一流の男の一流のエピソード
この本の中では、銀座で過ごす多くの一流の男の姿が描かれています。会社の経営者や文化人、それらの人々の「一流」たらしめるエピソードや、その根底にあるものが描かれています。
単に、金銭的に恵まれているというだけじゃなく、何か人間として、男としてのかっこよさが描かれています。その中でも、特に印象に残っているエピソードは、ある一度は銀座から姿を消された方の復活劇です。
不況のなかで、一度は銀座から姿を消されたその方、亜紀ママと偶然再会した時は、失意のさなかだったはずなのに、目をそらすとか逃げるとかではなく、亜紀ママを見て「ニヤッ」と笑われたそうです。
そしてその方はその後しばらくして、また銀座に戻ってこられたようです。人生色々あると思いますが、どんな時にもこうありたいです。こんな素敵な男のエピソードが沢山あるのもこの本の魅力です。